奏。‐カナデ‐








「いったぁ~い!」

体育祭前日。
あたしたしの学年の競技は、二人三脚。

くじびきでペアになった男女で走る。
それで、あたしのペアになったのは・・・

「お前コケんなよ!俺までコケるだろ!」

「そんな怒んないでよ片瀬~!」

そう、運良く(悪く?)ペアが片瀬なのだ。

「お前運動神経悪すぎだろ!」

「しょうがないじゃん~」

片瀬にボロクソ言われながらも、毎日練習してます・・・。


「はーい、1年集合!!」

先生がそう叫ぶと、みんなぞろぞろと集合し始める。
それに合わせて、あたしも行こうとすると、

「おい待て。お前はこっち。」

「え?」

片瀬に手を引っ張られ、無言で先生が居る本部で連れて行かれる。

「先生、コイツ怪我してるから保健室連れて行ってくる」

「そう。よろしくね」

あ、そうか。
さっきコケたとき、あたし膝怪我したんだっけな・・・。


「片瀬っありがと」

「そんなん見てたら痛々しくてやってられんわ」

ホントに?
なら、瞳を見て言ってよ。

ぶっきらぼうなあなたの優しさが、大好きです。


「なーに笑ってんだよ」

「なんでもなーい♪」


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