奏。‐カナデ‐




ドタッ!と勢い良く倒れた。

あたしはそんなにダメージは無かったけど、片瀬は・・・?

「片瀬、ごめ・・・」

言葉が詰まった。

「いってぇ・・・」

左手を押さえて座り込む片瀬。

うそ・・・。
さっと血の気が引いた。

「片瀬、大丈夫?!手・・・!!」

「あーこんくらい大丈夫」

「でもっ!・・・・早く保健室行こ!!」


片瀬の手を引っ張って保健室へ走り出す。

泣きそうなあたしの顔を見て、片瀬が笑う。

「お前、焦りすぎ」

それでちょっと緊張が解れたけど、片瀬の大切な手だから、急いで保健室へ急いだ。


―……


「そんな大した怪我じゃないわ。でも、1週間は安静ね」

「うぃっす」

「・・・・・。」

片瀬はいつもの調子だけど、あたしは申し訳なくて何も言えない。


「失礼しました~」



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