奏。‐カナデ‐





「・・・・おい」

「・・・・・・。」

「松本、大丈夫だって」

立ち止まるあたしに片瀬が優しく言う。
その優しい声が、余計に・・・。

「・・・っごめ、なさ・・・・、」

つい泣いてしまったあたしに、片瀬が近づいてくる。

「ちょ、泣くなよ・・・」

「・・・っ・・・・」

片瀬が、怪我してない方の手であたしを撫でる。

それが、今までにないくらい優しくてびっくりした。

「・・・泣くなよ。お前に泣かれると、まじ焦るから・・・」


「ごめん。怪我したの、片瀬なのに・・・」

「大丈ー夫だって!こんくらいの怪我。」

片瀬が手を動かす。
そして、笑顔で言った。

「きらきら星、弾けるしなっ」

「・・・・・バカ・・・」

「ははっ!」









・・・片瀬、やっぱ優しいよ。

あんまり、優しくしないで?


すごくすごく、好きになっちゃうから。

あなたを失うのが、怖くなるから。



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