涙の欠片
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【ねぇ、一緒に居てよ】
【すぐ帰って来るって】
【すぐっていつ?】
【ホント、お前うっせぇよな】
【また女でしょ?】
そう言った瞬間、あたしの身体は壁に叩きつけられ顎を掴まれる。
【お前、いい加減にしろよ】
【いい加減にしてほしいのはこっちだよ!!】
あたしの髪を引っ張り、そのまま床に倒しあたしの身体を蹴りつける。
むせ返る咳と荒れた呼吸と全身に走りだす痛み。
倒れ込むあたしに“だるっ”と吐き捨てて雑誌が飛んできて男は姿を消す。
自分で切った左腕から出てくる血があたしを安心させ、テーブルに散乱してある薬を何個か分からないまま水と一緒に流し込む。
行く場所なんてない。
自分の存在すら分かんない。
学校に行くともちろん、あたしの机なんてない…
あるのはその場に置かれている落書きの教科書だけ…
甲高い馬鹿みたいな声と笑い声…
あたしの居場所なんて何処にもない。
頭、痛い…
頭、痛い…
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