涙の欠片
第四章−暗中−
あの日からあたしの中での何かが変わり、リュウが隣に居ても寝れなくなっていた。
真っ暗闇の中から込み上げてくる恐怖感と絶望感。
自分の家に帰るとテーブルの上に散乱してある無数の薬。
薬を飲む量の感覚すら分からなくて頭痛薬を飲んですぐ睡眠薬を口に含む。
気持ち悪くて、吐きそうになったままあたしはいつの間にか深い深い眠りにおちていた。
そんな日が1週間と少し経ち、夏休みも残り5日となっていた。
「お前さ、家で何やってんの?」
そう聞かれたのはリュウの部屋にいた時だった。
突如の質問に混乱するあたしは平然を保って「別に何も…」と素っ気なく返す。
リュウはテーブルの上にあったタバコをくわえて火を点ける。
煙を深く吸い込み天井を見上げながら煙を吐き、リュウは深いため息をつく。
「顔色悪いぞ」
「あー…風邪かも」
適当な嘘をつき、あたしは床に置いていた雑誌を手に取りパラパラと捲り始める。
風邪なわけながない。
薬の飲み過ぎなだけ。
だけど、リュウには言えない。言ったら怒られて止めさされる。
だけど薬に頼った以上、
もう…
なかなか止められない。