涙の欠片
テーブルの上にあるリュウの携帯が鳴り始める。
リュウは全然起きなくて、起こそうと思った時、着信音はプツリと切れた。
だけど、すぐにまた鳴り響く携帯。
あたしは少し身体を起こしテーブルに目を向けた。
着信音とともに光るイルミネーション。
こんな時間に…
こんな時間に誰?
気になりながらもあたしは起こしていた身体をベッドに預け寝転んだ。
何度も鳴り続ける着信音を聞こえないように布団に潜り込むと「うっせぇ…」とリュウは寝呆けた声を漏らし、あたしの身体に回っていた腕が離れた。
うっすら目を開けてリュウを見ると、リュウはダルそうに携帯に手を伸ばし2ッ折りの携帯をパカッと開け耳に当てる。
「あ?」
「リュウ、あたし!!」
あたしの耳に飛び込んできたのは電話から漏れてくる明るい女の声だった。
えっ、誰…?
リュウと密着している所為か女の漏れてくる声は自棄にはっきりと聞こえてくる。