涙の欠片

「あ?…誰?」

「何であたしの事、忘れんのよ!!由美だってば、何で電話出てくんないの?」

「切んぞ」

「もー何でそんなに冷たいわけ?何回もヤった仲じゃん。あたし達セフレでしょ?」


明るい弾けた女の声が聞えてすぐ、あたしの身体は一気に震え始めた。


ヤった仲って何?
セフレって何?


わけわかんない。


気分悪い…
目眩がしてくる…
頭クラクラする…


リュウは小さく舌打ちをし電話を切って床に投げつける。

そのままリュウの手はあたしの身体に回り、さらに密着し、リュウは寝息をたてて眠る。


嫌…

触んないでよ。

気分悪い。


リュウの方に向いていた身体をあたしは壁側に向け、あたしの身体に回っていたリュウの手を払いのけた。


その後、リュウの電話は掛かってくる事は一度もなかった。

多分、リュウは電源を切っている。


あたしの頭の中は何が何だかわからなく全然寝る事すら出来なくて身体は小刻みに震え続けた。


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