涙の欠片
帰ってからテーブルの上に散乱している睡眠薬を手にして口に含む。
何度か携帯が鳴っていたけれど、それさえ無視して何も考えないように睡眠薬に頼って深く深く眠りにおちた。
目が覚めたのは夜が明ける頃だった。
床に落ちている携帯を取り開けるとリュウの文字で埋めつくされている。
メールが一件だけ入っていて受信BOXを開けると、
“電話しろ”
そう書かれたリュウからのメールだった。
もちろん、しない。
するわけないじゃん。
して何話すんだよ…。
テーブルに置いているミネラルウォーターを喉に流し込み、テーブルに顔を伏せて時間が過ぎるのを待った。
長い時間が過ぎ、いつも通りの廊下を走る聖梨香の足音を聞きあたしは顔を上げる。
制服のまま眠っていたあたしは制服を脱ぎ捨てて私服に着替えた。
今日は行かない。
めったに休まない学校を、あたしは休む事にした。
9時を過ぎた頃、あたしはリビングに向かいソファーに座る母に目を向ける。
そんなあたしに気付いた母はタバコをくわえたまま何食わぬ顔であたしを見つめる。