涙の欠片

次の日から何度もリュウから着信が入ってたけど、あたしは出る事も掛ける事もなかった。

そしてリュウが家に来る事もなかった。



2月に入って、あたしは残り少ない3学期を休まず毎日行った。

3年生達はもう学校には来てなくて、いつも騒がれていた廊下に女達は集まって甲高い声を出す事もなく、本当に静かな毎日だった。


あれ以来、リュウとは会ってなくてリュウからの電話も今ではパッタリとなくなり、あたしの携帯は本当に毎日静かだった。

でもやっぱり気分的に優れなくて薬は手放す事は出来なかった。



2月末。3年生の卒業式。

あたしはその日、学校へは行かずリュウのマンションへと向かった。

部屋に入ると相変わらずテーブルの上にビールの空き缶が無造作に置かれ、ヘビースモーカーのリュウの灰皿には吸殻が溢れ返っていた。


クローゼットの中を覗くとハンガーに掛けられたあたしの服が何枚も目につく。

それをあたしは取りバックの中に詰め込んでいく。

部屋の中の私物を全部詰め込んで、テーブルの上を片付けていると鞄の中に入っている携帯が鳴り始めた。


あたしは鞄の中に入っている携帯を取り出しパカッと開けて、そこに映し出される文字に軽く息を吐いた。





…―――麗さん。


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