涙の欠片
最終章−愛着−
あれから一馬はあたしをずっと送ってくれた。
美沙と遊ぶ日以外はあたしを送ってくれた。
また誰かに頼まれたの?って聞くと、一馬は“俺自身”と答えてた。
そんな優しさに甘えながら、あたしは一馬に送ってもらい、あたしのわがままで繁華街に一馬をツレ回したりもした。
一馬は嫌々だったけど、文句言わずにあたしに付き合ってくれた。
季節はだんだん過ぎ去って、秋。
あたしが入院をしていた11月になっていて、相変わらずな毎日を送っていた。
家に帰るといつもと同様、テーブルの上には薬が散乱していたけど、一つだけ手放した。
それは頭痛薬。
それだけでも、あたしは一歩前進した様にも思えた。