涙の欠片
美沙と遊んで家に帰って、ベッドに倒れ込んでからもう1時間くらいは経っていると思う。
壁に掛けてある時計に目を向けると針は9時半を指していた。
何気なく枕元にある携帯を握り締めた時、勢い良く携帯が鳴りだした。
静まり返ったこの部屋に鳴り響く着信音であたしの肩はビクっと上がる。
そのまま携帯をパカッと開くと、その画面に映し出される名前に目を見開いた。
…――――麗さん。
何で麗さんから掛かってくんの?
もう、麗さんとは8ヶ月くらい会ってないし、連絡すらとっていなかったのに。
だけど、あたしは番号を消去する事なく電話帳に収めていた。
しつこく鳴り響く着信音にあたしは躊躇う。