いつかの今日は
「戻ってきたかぁ流斗!」
歩さんが彼に話し掛けた。

じゃ、じゃぁこの人が杉原さん?
流斗[りゅうと]って言うんだ
なんという偶然。
てか、奇跡だ。 

「遅くなっちゃって」
と答えると私の方に
向き直った。

何か言わなきゃ
えっと
えっと

「ジュ、ジュースありがとぅ」
私は照れて顔が爆破しそうだった。

彼はニコッとあの笑顔で返して私の隣の席に座った。
やばいじぬ、キュンとしてしまう、心拍の音が洩れてないだろうか心配だった。

「えっ?じゃぁお前が言ってたバスでの出来事って和茶ちゃんだったの?」

彼は歩さんに話していたみたいだ。

「はい、そーみたい。」
彼が頬をポリポリかきながら答える。

「か〜ず〜さ〜」
となりでこの世のものとは思えない声が聞こえた。
楓だ。顔がビショビショの楓だ。

「ちょっと来なさい。」
腕を捕まれ楽屋の外に
つれていかれた。
< 29 / 92 >

この作品をシェア

pagetop