kiss・kiss・kiss


『…陵ー…。』


「…玲菜ー…。」


なんで…陵がいるのよ…。
陵は、岡山に行ったはずなのにー…。
あたしを置いて、
岡山に行ったはずなのにー…


そお、この男、榊原 陵。
あたしの元カレ。
中学2年から高校1年の夏休みまで
付き合っていた。
周りから、理想のカップルと
言われていたあたし達。
これからもずっと一緒と思って
いたのに…。
突然、陵があたしたちの前から
姿を消した。もちろんあたしに
別れも言わないで…。
担任から陵が岡山に行った
ことだけが知らされたー…。
連絡も取れない。住所もわからない。

陵にとって、あたしはそれくらいでの
存在でしかなかったんだ…
あたしのことなんて、
ただの遊びだったんだって…
だから、別れも言わなかったんだって…


って、一人で勝手に解釈していた。

自分のプライドを守るために
堅い殻をみにまとった。
好きという気持ちにも
鍵をかけた。


あれから1年…ー。


あたしがずっとすきだった人が
目の前に立っている…。
捨てられても好きだった人が…。


ガチャッ


こんなにカンタンに鍵が
外れるなんてー…。




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