kiss・kiss・kiss


「玲菜ちゃん〜」


部屋の前までくるとお袋の声が聞こえていた。後から聞いた話だが、俺がくる五分くらい前までは、廊下中に響き渡る声で玲菜の名前を呼んでいたらしい。


まったく、俺より玲菜のこと好きなんじゃねぇのか??


お袋と玲菜取りやったら負けそうー(笑)


ガラガラッ


「お兄ちゃん!なんでいるの?!受験は、受験は、どうしたの?!!」


お袋がさっきまでの顔とは、裏腹に血相変えた顔をしている。


『ああ、行かなかった。』


「間に合わなかったの?!」


『普通に玲菜預けて、すぐに大学に戻れば間に合ったよ。でも、行かなかった。』


ああ、怒られたな。


俺は、顔を下に向けた。怒るなら怒れよ。

「あら、そう。」


え??理由聞かないのか??
普通なら怒ったりするんじゃねーの?



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