kiss・kiss・kiss


『理由、聞かないのか?』


俺は、お袋を見ながら恐る恐る聞いた。
俺らしくは、なかったが聞かずにはいられなかった。

お袋は、何が?と、言わんばかりの顔をしている。そして、口を開いた。


「だって、あたしは、別にお兄ちゃんに早慶大に行ってもらわなくてもいいんだもの。逆に玲菜ちゃんと同じ大学に行ってもらえたほうが嬉しいのよね♪ああ、パパには内緒よ。」


ふっ


思わず笑みがこぼれた。そして、無性にわらいたくなった。お袋らしいな。

本当に、いい母親もったよ。

ってか、息子の幸せをそういう風に考えてるんだな。


お袋には、一生かないそうにない。


『ありがとう。俺、親父に話してみるよ。』


「あら、あたしお礼を言われることしてないわよ。あっそれより、お兄ちゃん!玲菜ちゃんが目を覚ます前にケーキでも買ってきてちょーだい。」


『病人にケーキって…まあ、いっか。』


本当に一生かなわないな。

たぶん…(笑)


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