kiss・kiss・kiss


3つの約束…覚えてるよ。

忘れるわけがない…四年前の約束だけど、あたしたちにとっては、四年前ずっと心に縫い付けてきた約束……


『ひとつ目は、浮気したら別れたとみなす。ふたつ目は、お互いを大切にする。みっつ目は、絶対にお互いを信じ、助け、支え合う。』


うん……。

でも、あたしは、ふたつ目を守れていない。守れなかった。


陵の夢はあたしにとっても大事かものだったから………。


「ごめんなさい…」


もう、あたしには、ごめんなさいしか出てこない。謝ることしかできない……。


『玲菜、お前のせいじゃない。お前は、俺を大切にしてくれた、お前は、自分のことなんかよりも俺をいつも一番に考えてくれていた。今回だって、早慶大に行くことを勧めてくれた。』


「あたしだって、陵と同じ大学に行きたかった。でも、医者は、陵の夢だったから」

陵は、ふっと笑った。


『ほらな、自分の気持ちを差し置いて、俺のことを優先的に考えてくれている。だから、約束は、破ってなんかないよ…。』


「…うん。ありがとう…」


『ああ、一緒に甲南大行こう。別に甲南大の医学部に入れば、問題はない。トップで入ってやるよ。そして、つねにトップでいてやるよ。』


「うん、陵ありがとう…。」



.
< 95 / 138 >

この作品をシェア

pagetop