Kiss or Kiss
綾香の気持ち
目が覚めると隣りに拓也がいた
「…拓也?」
「…綾…いく…な…」
拓也の頬に伝う涙
私は拓也の手をギュッと握った
あの日…隼人と別れてから拓也に告白された
"隼人を忘れるためでもいい、俺と付き合って"
最初は断っていた私に…
"俺を利用してよ…"
と悲しそうな声で言った拓也
私は拓也を抱きしめて"いいよ"と小さな声で言った
「…ねぇ…拓也は幸せですか…?」
拓也が嫌いなわけじゃない…
むしろ大切だと思ってる
でも…それ以上に隼人を
愛してる
「…拓也、起きて?」
「…ん…?綾香…」
「私ね、今日バイトなの」
「…あ~…俺もだ」
私は最近BARでバイトを始めた
「…用意したら行くからね?」
「帰り、迎えにいく」
「ありがと」
私のバイト先は拓也のお店から徒歩5分程
拓也は私に触れるだけのキスをして
「いってらっしゃい」
と優しく微笑んだ