【続】インナーラブ~俺は荒海47歳~
俺が思っていた以上の女だった。
山口真奈美。
冗談半分で頼んだお弁当。
山口は俺にお弁当を作って来てくれた。
俺の大好物ばかりが入っていて、栄養のこともちゃんと考えられている最高の弁当。
しかも、毎日作ってくれた。
俺の中で、山口の存在はどんどん大きくなり、この先どうすればいいのかわからないくらいに惚れていた。
メールアドレスを交換したのに、俺は「ごちそうさま」しかメールを送れないでいた。
「俺ってしょぼいなぁ」
自分でも情けなくなる。
弁当のお礼に焼肉をおごる約束をしたのに、まだ誘えない。
自信がない。
27歳の山口。
47歳の俺。
彼氏、いるかも知れない。
俺のこと、上司として慕ってくれてるだけかも知れない。
勝手に盛り上ってるだけかも知れない。
久しぶりの恋は、どんどん俺を臆病にさせた。