【続】インナーラブ~俺は荒海47歳~
俺は墓参りに行った。
妻に謝るんじゃない。
妻は、俺が新しい恋をすることを望んでいるはずだから。
妻に相談だ。
風が吹き抜ける高台。
何度もひとりで泣いた場所。
病気で亡くなった妻を思い、この場所で唇を噛み締めた。
忘れるわけじゃない。
妻のことは一生愛しているし、忘れない。
でも、残された俺の人生を共に歩いてくれる人が、俺にはいない。
空から見守ってくれている妻に向かって呟く。
「やっと、見つけたで。お前も気に入ってくれるくらいええ子や」
カサブランカが揺れる。
俺はお墓の周りを掃除し、高台から街を見渡した。
「また来るわな」
死んだ後のことはわからない。
でも、俺は常に心の中にいる妻と生きてきた。
だから寂しくなかった。
でも
寂しかったんかもしれん。
寒かったんかもしれん。
やっぱり愛する人の温もりが欲しかったんかもしれへんな。
勇気をくれてありがとうな。
俺は、やっと見つけた2人目の運命の女性に愛してもらえるよう、頑張ろうと心に決めた。