【続】インナーラブ~俺は荒海47歳~
山口真奈美という女子社員。
特別派手でもなく、とにかく「普通」なのに、俺は彼女に好印象を持った。
俺の話を聞いている彼女は、とても優しい表情をしていた。
そして、彼女が最初に拍手をしてくれたのも知ってる。
その山口が、俺に話しかけてくれたのは転勤した翌日の朝だった。
親しげに話しかけてくれた山口。
その笑顔で、俺はとてもラクになった。
「おはようございます。荒海部長は、お弁当持参なんですね!いいですね~愛妻弁当!」
「せやろ~!やっぱ弁当が一番うまい!」
言えなかった。
俺に妻がいるんだと確信している山口に、真実を話せなかった。
その時は、話す必要もないだろうと思っていたのも事実。