【続】インナーラブ~俺は荒海47歳~
俺は、愛する妻に先立たれてから、「男」として生きて来なかった。
恋愛をすることなど、全く頭になかったし、再婚なんて一生する気もない。
そんな俺が、ひとりになって初めてこんなことを思った。
もう一度誰かの温もりを感じたいと。
山口の笑顔は、俺だけに向けられるものではない。
誰にでも感じの良い山口は、総務部でもムードメーカー的存在で、いつも周りを明るくしてくれていた。
何よりも笑顔が素敵で、笑い声がいい。
「荒海部長、さすが関西人ですね~」
俺のしょうもない話に、山口はいつも爆笑してくれて、俺のおかげで職場が明るくなったと言ってくれた。
その時俺は思った。
『山口のおかげで、俺は元気になったんやで』って。
慣れない職場で、山口が毎日声をかけてくれることがどれほど俺を救ってくれたか。
人見知りしないように思われがちだが、実際は結構俺も人見知りで・・・
関西のノリで明るく乗り切ってはいるが、疲れることもある。