Wolf Eyes
『あとね、辰馬君が好きって言ってくれて、嬉しかった』









妹由も、辰馬の背中に腕を回す。








『あたしも、辰馬君が好きっ』








妹由の心臓の音が








辰馬に伝わる。










「はっ、そんなの、知ってる」














『わ、もぉ。そこは喜んで欲しかった乙女心!』








「何がオトメゴコロだ。ちょっ、うわ」









妹由は、するりと辰馬の腕から逃れる。









『あとね、もう1つ、分かったことがあるの』








辰馬を指差し、











誇らしげに言った。












『辰馬君って、可愛い所もあるんだね!』










妹由がかざした手の中には










俺の、鍵束。








よりにもよって、








キャラクターのキーホルダーを外すのを









忘れちまってた。








「うわ!バカっ、返せ!」







鬼ごっこが始まった。
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