Wolf Eyes
転がされるオオカミ
『きゃ』











妹由が辰馬の中に収まる。









妹由の手に持っていた鍵束が












あっさりと辰馬に奪われた。











『あーっ』










妹由が抗議の声を上げる。











「あーじゃない!一応、俺のだから」














妹由は、ぷうっと頬を膨らませて、










何ら迫力がない目で俺を睨んだ、











かと思えば、 上目遣いで俺を見た。










くそ、













何なんだこの可愛さは。















どこで覚えて来たんだ、












そんな技。













マズい。













そう思って、必死に話題を変える言葉を探す。













「なぁ、俺らって、もうカレカノ?」












妹由はしばらく目線を落としていたが、










ゆっくり瞼を持ち上げて、












視線がばっちり合う。















『それは…辰馬次第』











…えっ、と目を全開にした後、










情けなく裏返った声を発した自分を恥じた。










その瞬間、















   『(ちゅ)』







< 11 / 16 >

この作品をシェア

pagetop