バレットフィンク
その告白にベースのカズユキが


「まぁ確かに弱いかな?だけど諦めるのはまだ早いんじゃないの?」


サイドギターのコウスケも


「そうだよ。今すぐライブがある訳じゃないんだし、これから努力すれば何とかなるさ!」


とミキオを励ます。


タケシはミキオの歌に関しては正直な所、納得がいかなかった。ミキオはビブラートが云々とか、そんな悠長な事が言える様なレベルではなかったのである。


具体的な例を挙げると、学園祭で辛うじて許されるレベルと云えば理解してもらえるだろうか。


その反面、ルックスが良い為、そのルックスで何とかカバーしているのが実情であった。


それにイサムのドラムもミキオ同様にタケシは納得出来ないでいた。


バンドにとって最も肝心であるリズムが全くきざめないと、ギタリストよりも寧ろベージストの方が断然苦労する。


要するに、ドラムとベースが全然噛み合っていないのだ。


その為にせっかくの演奏が、自然と聴くに耐えない代物へと成り下がってしまうのが現実なのであった…。



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