バレットフィンク

「この話、リョウタは知ってるのか？」


「知らないよ。彼等と話をしたのは僕だけだから。リョウタはバカみたいにライバル心を燃やして、彼等と口を利こうともしなかったよ」


「あいつらしいな。ところでバンドの居心地はどうなんだ？」


その言葉にコウスケの声に曇りが帯び出す。


「リクとリョウタが喧嘩して合同練習が延期になったんだ…」


「あまりに喧嘩が絶えないから、今では三人でバンドを脱退しようって話になってるんだ」


リョウタはタケシを辞めさせてから自暴自棄の道を突っ走っていた。


その為に、バンド内でのいさかいが絶えなくなり出して、溝と言う魔物が、日を追うごとに襲いかかる事態を招いてしまっていたのである…。