バレットフィンク
ギターを肩に掛けてスタジオの中へと入って行くと、店番を受け持っている通称


「おかけん」


と、皆から呼ばれている、髪を赤色に染めたパンクロッカーが、ピアスだらけの顔で屈託のない笑顔をタケシに向けながら


「よう、タケシ!もうみんなスタジオに入ってるぞ。急がないと全額払わされる羽目になるぜ!」


と脅しをかけて来る。


「ヤバイッ!俺、今日は自分の分しか持ち合わせ無いんですよ−」


「もし、そんな事になったらおかけんさんも一緒に謝って下さい!」


と、手を擦り合わせて泣き寝入りする様に問いかける。するとおかけんからすかさず


「自分の責任は自分で何とかするのが大人だろう、違うか?」


と当然な事実を堂々とした態度で云われてしまう有様。


タケシは確かにおかけんさんの言う通りだと云うのと、外見とは一致しない発言をいつもする人だな、と云う二つの思いが相互に脳裏をかすめた…。



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