携帯小説みたいな恋は出来ない
目を覚ますとカラスの鳴き声が聞こえた。

静かな一人きりのアパート。
格安家賃のアパートはボロい。歩けば床がギシギシという。
駅からも遠いし、スーパーも遠い。
それでも、お風呂もトイレも付いているんだから私には充分だ。

セットしていたアラームを鳴る前に解除して、ベッドから降りる。

「寒っ…」

12月の室内は冷える。
暖房のスイッチを入れると、キッチンへと走る。

ポットのお湯をカップに注ぎ、手で包み込む。

熱いくらいのカップが心地よい。
< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop