夢で桜が散る頃に。

「って、‥‥え?」

目を覚ませば、私の顔を心配そうに覗き込んでいるマネージャーと社長。
そしてお父さんとお母さんまで。
マネージャーは、看護師を呼んで来る。と部屋を出て行った。

「‥‥ど、どうしたの?」
「『どうしたの?』じゃっな~いっ!!あんたねぇ、丸一日死んでたの!!」

と叫ぶ社長の声が耳に刺さる。

「大丈夫?お腹痛くない?」
「いや、痛いに決まってるだろう」

お母さんとお父さんも口々に言う。
そういえば私、刺されたんだった。
それで‥周りの景色からして、病院に運ばれたのね。

助かったのはきっと、あの時マネージャーの携帯にダイヤルしたからかな。
ポケットの中じゃ携帯の画面が見えないから、操作出来ているかあやふやだったけど。
助かっているって事は、ちゃんと繋がったって事かしら。
会話は、全部聞かれただろうけど‥。

「‥あの、彼女は?」
「警察に捕まったわ」
「そう、ですか」
「あんたの彼、あの子に殺されたそうね」
「‥‥はい」

それを社長が分かっているって事は、マネージャーが知らせたか‥
彼女が白状したって事か。

ねぇ、志黄。
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