涙の終りに ~my first love~
LOVE THAT WAS LOST
辛かった・・・。

辛くて情けなくて再び瞼に熱いモノが込み上げてきたが、
二人の前では泣くまいと必死に堪えていた。

沈黙を破ったのは勝史だった。

おもむろに立ち上がった勝史は「ユウジ、行こう!」とオレの脇を抱えた。

「えっ 何? どこに?」と勝史の”行こう”の意味が分からず戸惑っているオレにヒロまでもが
「よし! 行こう!」と立ち上がり、二人に両脇を抱えられながら部屋を出た。
オレは「行こうって三人でどこに行くんだよ?」と聞いたが、勝史とヒロはお互いに目で合図するだけで何も答えようとはしなかった。

二人に支えられたまま外に出るといつしか雨もやんでいて、
雨上がりの夜空には月が顔を覗かせていた。

「雨もやんでる! 急いで行くか!」と気合の入っている二人だが、
表には勝史の愛車のMR2にヒロのCB。
「何処に行くつもりか知らないが、三人での移動は無理だな・・・」と
安心していたオレに、振り返った勝史は「ユウジ、おまえの車のカギ貸して!」と強引にポケットから車のキーを奪い取り、その時はじめて

「今から真子に会いに行く!」と奴は言った。

奴等の目的を知り、こんな状況で真子に会うのは絶対に嫌だと思ったオレは

「もういい! 今さらアイツに会っても仕方ない! 行くのは嫌だ!」と
激しく抵抗したが、二人はオレの話しなど完全にシカトで運転席に勝史、
助手席にヒロ、そして後部席に嫌がるオレを押し込むと、

「オマエがよくてもオレ達はよくない! ひと言真子に言ってやらないと気がすまん!」とエンジンを掛けた。

しかし真子の家を知らない勝史は彼女の家とは反対の方向に車を走らせ、
表通りの県道に車を合流させてから
ルームーミラー越しに「ユウジ、真子の家はどっち?」と尋ねてきた。

この時のオレはもう、勝史の問いかけに言葉を返せるような状態ではなかった・・・。

無理やり押し込められた後部席には、仕事帰りにトランクから移動させた包みが二つ揃えてあり、それを見た瞬間、胸が熱くなり涙が溢れていた。

オレはなんてバカな奴なんだろう・・・ 

こんなプレゼントまで用意して・・・ 

本気でやり直せるとでも思っていたのか・・・

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