涙の終りに ~my first love~
だがさすがに3階をうろつく行為が誰もに注目され始めると限界を感じ止めざるをえなくなった。
ところが不思議な事にオレが3階に行くのを止めると、
彼女の方が4階に来るようになった。
いつも渡り廊下のところで4階のクラスの女の子と話すようになり、
その子がバスケ部だったので彼女も同じバスケ部なんだと後から知った。

彼女が4階に来るようになったある日、オレは男友達につまらんイタズラをして
なんとなく彼女の居る渡り廊下に逃げてしまった。

そこで初めて至近距離で二人きりになった。
何故かいつも渡り廊下のところで会話をしている相手の子はおらず、彼女と二人きりなってしまい心臓がドキドキしたのを覚えている。
あまりに突然だった為、彼女も動揺しているのがハッキリ分かった。
お互いに何を話していいのか分からずモジモジしていると彼女の方から話してきた。

その記念すべき始まりの言葉はオレの名前を呼んだのではなく
”洋子”って名の女の名を呼んだ。
洋子って呼んだのはオレがその子となんとなく付き合っているような雰囲気があったから
彼女はそこを皮肉って呼んだのだ。
洋子は1年の時に同じクラスで世話好きな子だった。
単に世話好きだけだったのか今ではわからないが洋子とは二人で話す事も多く、二人が付き合っていると誤解してた奴も多かったと思う。
しかも洋子と真子は同じクラスだった。

オレは彼女の始まりの言葉にカッとなり、「喧しい、ブス!」と心にもない言葉を返した。
その”ブス”に彼女も反応し”洋子”と”ブス”の応戦になった。
みにくいやり取りは休憩時間の終わりを告げるチャイムが鳴るまで続き、
くだらない単語のやり取りをしただけで初めての会話は終わった。

オレは教室に戻ってからもイライラしていた。
そして同じクラスのマミちゃんという女の子に事の顛末を打ち明けると思わぬ回答がきた。

「真子はユウジの事が好きなんよ、ユウジがその気なら付き合えば?」だった。

オレは「あんなブス、タイプじゃない!」とそっけなく断ったが顔はニヤケていた。
その後に始まった授業も真子の事ばかり考えて先生の話しなんて頭に入らなかった。


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