涙の終りに ~my first love~
マミはオレ前まで走ってくると立ち止まり、両手でピストルのマネをし
「バキューン! この色男」とだけ言い残し自分の席へと戻って行った。
先生と一緒に教室に入ったオレはマミの机の横を通りながら
「色男はわかったから結果を言えよ」と呟きながら自分の席に戻った。

やがて授業が始まりオレはマミの背中をじっと睨んでいた。

「じらしやがって・・・」

そのマミの背中がゴソゴソ動くと前の席から手紙が回されて来るのがわかった。
そしてオレに手渡された手紙の表には「結果発表~!」と大きく見出しが書かれていた。

その手紙は女の子らしく綺麗に折りたたまれオレが先ほど回した手紙とは全く違った。

だが無知なオレは綺麗にたたまれたその手紙の開き方がわからず、力まかせに破いてしまった。
慌ててパズルのように丁寧に机の上で広げると
「色男め~ 真子はスゴク喜んでたよ、ユウジと仲良くなりたいって。でも洋子の事を気にしてたよ」と可愛い字で書いてあった。

オレは洋子って言葉より、”仲良く”が引っ掛かった。

仲良くって友達以上恋人未満って事か? 

そんなのイヤだ。いきなり恋人とまでは言わないがオレは付き合いたい。
真子を独り占めしたい、オレだけのものしなきゃダメだ。
長く退屈な授業を終えるとオレは3階の真子の教室に向かった。
いつも思っていたけど自分のクラス以外の教室に入ると全く空気が違う、この時もそうだった。オレは真子のクラスの中に入り込むと机の前まで行き、

「オレと付き合えよ!」とはっきり言った。

すると彼女は顔を赤くして両手で口を塞ぎながら小さく頷いた。

そのまま教室の外へと誘い、洋子とは何も関係ないと何故かひたすら弁明したのを覚えている。
彼女のクラスまで出向いたのは洋子が同じクラスだったからでもあった。
やっぱり初めての彼女、その彼女に嘘を付きたくないとか隠し事は絶対ないとか素直な心の現われだったのかも知れない。
一方的に話しまくり短い休憩時間を終えた。
別れ際に「またね」とオレがいうと「うん」と相槌を打った

それだけしか真子に話させなかった。

< 4 / 105 >

この作品をシェア

pagetop