涙の終りに ~my first love~
事故の場所だ。
慌ててオレはベッドから跳ね起きると、急いで外に出て公衆電話から有澤へとダイヤルを廻した。
改めて有澤に事故の場所を尋ねると
「口じゃうまく説明出来ないから」とヤツは自ら案内役を勝って出てくれ
愛車のHarley-Davidsonを飛ばし、重低音を響かせながら向かえに来てくれた。
バッチリカスタムされ磨き上げられたH・Dだけど、
案内役を勝って出てくれたわりにはシートが一つだけで
オレは半ケツで有澤の愛車にまたがると、振り落とされないよう背中に必死にしがみ付いて現場に向かった。
シフトチェンジを繰り返し加速してゆく有澤の背中で、
オレはまだ悪い冗談という気持ちを拭い切れておらず、
爆音と共に夜道を風のように駆け抜けるHarley-Davidsonにいつしかタイムマシンに
しがみ付いているような気分になり、
身も心もあの頃に連れ戻された感覚になっていた。