涙の終りに ~my first love~
オレの思いは聖子に伝わったと思う。
だけどやはり生きている聖子の前で傷付けた事を謝りたかった。

愛車に火を入れた有澤の背中で振り返りながらオレは白いコンクリートに手を振り、
走り去るHarley-Davidsonの排気音は聖子に捧げるレクイエムになった。

時は流れ遠い過去の出来事になってしまった今でも聖子の事は忘れはしない。

多分、オレが生きている限り忘れる事はないと思う。
忘れてしまう事じたいが死とは全ての終わりで削除とか消滅と同じ意味に思えてイヤだ。

だって死んだ人は生きている人の記憶の中でしか生きられない。
だからオレの命が続く限り聖子の事は忘れはしない。
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