涙の終りに ~my first love~
次の日からは仕事をしている事が楽しかった。

今まで仕事が楽しいなんて思った事もなかったけど、
”仕事は週末まで時間を潰す手段!”なんて考えになっているから何をやっても苦にならなかった。
逆に手が空いてしまったり、お手隙になる方がイヤなので
上司に訴えて積極的に仕事をこなし、雑用から便所掃除なんかも進んでやった。

便所の掃除にしても真剣になってクソ真面目にやるから時間なんて忘れてしまっている、

そこで掃除を終えてチラリと時計を見ると
「ヨシ! もうこんなに進んでる」なんてニヤケてた。

仕事を終えて家に帰ると今度は洗車。

洗車は土曜日まで毎日やろうと決めていた。
ところが週中の木曜日辺りに雨が降り、仕事も残業だったので洗車は中止となった。

洗車が出来ないのならと、改めて土曜日の待ち合わせ時間などを決めようとPM.9を待って、当時はどこにでもあった電話ボックスから真子へダイヤルを廻した。

2回からの電話は空白の期間なんて何もなかったように、
恋人同士が普通にデートの約束をしているような会話だった。

「今日雨だね・・・ でも土曜に降るよりはいいね」なんて、
結局この時も一時間ぐらいは話しをした。

待ち合わせ時間は夜七時。
場所はお互いの家のちょうど真ん中辺りに位置するコンビニ。
当日はどこか綺麗な夜景の見える場所にでも行こうと決めると、お互いに雨が降らない事を祈って電話を切った。

オレはダイヤルを廻せば細い電話回線を伝わっていつでも真子の声が聞ける、
そんな当たり前のような事でも満足していた。

そして約束の土曜の夜がやってきた。
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