涙の終りに ~my first love~
その子を連れて遊園地に出掛けたりもした。
まだ一歳にも成らないの子供に取って遊園地って所が楽しいとこか分かるはずもない。
だけどオレ達は父親母親、そしてその子供っていう雰囲気を味わいたかった。
そんな感じで真子を愛する気持ちと子供も可愛いって思う気持ちは月日を重ねる毎に増していった。

ちょうどその頃、ヒロにある事を言われた。

それは三人で何度目かにヒロの店に寄った時の事だった。
いつものように店内を物色しオレは子供用のTシャツなんかを眺めていると、突然近寄って来たヒロに

「ユウジ、いつも何してるの?」と

不思議そうな顔をして言われ、その時は”何”の意味がよく分からず曖昧な返事しかしなかったが、後であれは”ひょっとして三人で住んでるの?”を遠巻き聞いていたんだなと思った。
ヒロがそんな風に思うのも無理はない。
オレだって勝史が休日になるといつも子連れの三人で行動していれば同じように思うに決まっている。
逆にヒロのその言葉を聞いてオレは真子との関係をはっきりさせないといけないと
思うようになった。

今後仮にヒロ以外の奴に同じ事を聞かれたとして、
「真子とはつき合っていない、彼女とはただの友達」とオレが答えてそいつ等は納得するだろうか。

誰も納得なんかするはずもない。

つき合ってもない女とその甥っ子を連れて、週末過ごしているお人好しか、ただのバカと
思われるのが関の山。
やはりそろそろ二人の関係をはっきりさせよう。それは真子の為でもある。
オレに嫌な思いをさせ別れる原因を作った彼女から、”やり直したい”という言葉は言い出しにくいだろう。

だからオレがはっきりさせなくては・・・。はっきりさせる、それはオレの方からもう一度真子に告白する事、

それは春の訪れを感じ、桜の咲き始める季節の事だった。
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