[短]6月の第2ボタン
6月の第2ボタン
その日も雲行きは怪しかった。
いつまでも姿を見せようとしない太陽に、僕は溜め息をひとつこぼす。
いつも外れるばかりの天気予報が久しぶりに的中したのはいいけれど、
こう毎日雨ばっかりじゃあやる気の欠片も出てこない。
恵みの雨だかなんだか知らないけれど、いい加減にしてくれ。
…とは勿論口にできない弱虫僕は、心でそんなことを呟いてみる。
「幸希(コウキ)!また外眺めてんの?」
腰が折れそうなほど強いタックルと共に僕に声をかけてきたのは、
学年でも『モテる』方の類に分類される、僕の唯一の親友の麻人(アサヒト)だ。
…唯一なんて認めたくないけど。
モテる麻人の一方で、僕はもっぱら奴の引き立て役だ。