[短]6月の第2ボタン
朝、僕を見つけるなりタックルしてくる麻人。
授業中、わからないことがある度に小さな紙切れを渡してくる麻人。
お昼休み、さも当たり前のように僕を屋上に連れ出す麻人。
こっちの都合なんてお構いなしの麻人に、最初はイライラが募っていく一方だった。
それなのに、いつの間に僕は、こんなにもあっさりと麻人を受け入れるようになっていたのだろうか。
慣れとは恐ろしいもので、いつでも自分の意志とは裏腹にあるのだと気づかされた。
僕たちの間に流れ込むこのじめじめとした空気は、明日から僕はこの町にいなくなるということが最大の理由なのだろうけれど、
夏がハジマルこの梅雨のせいでもあるのではないかと、強く地面を打ちつける雨を見てそんなことを考えてみたりした。