[短]6月の第2ボタン
『幸せの希望を望む』
そんな意味を込めてつけられた僕の名前。
みんなは「いい名前だね。」と言うけれど、正直僕はあまりこの名を好いていない。
「ねえ、本当に明日行っちゃうの?どうしても、断ることは出来ないの?お願いすることも出来ないの…?」
いつもの強気な彼女の言葉とは思えないほど、彼女が口にした言葉は弱々しいものだった。
両手を胸の前で震わせ、瞳を潤ませる彼女に、心が1ミリも揺るがないかと聞かれれば、100パーセント否定することはできない。
けれど、僕ひとりでどうにか出来る問題ではないために、安易に首を縦に振ることは難しかった。
もしも僕がもう少し大人だったならば、今、瞳を潤ませる彼女に、涙を流させずに済むのに。