―ホストな恋―
彼女はコンビニを後にするあたしに向かって叫んだ。

「アンタなんかどーせ色やから!」

あたしは彼女にバレない様に裏のエレベーターを使って上がった。

バクバクうるさい心臓。

次から次へと溢れる不安。


遅いあたしを心配して智が廊下に出ていた。

「…どぉしたん?」

あたしは涙をこらえていたのですごい顔をしていたと思う。

でも智の顔を見た途端に涙が溢れ出た。

「ひっく…ひっく…」

智はあたしが落ち着くまで黙って抱き締めてくれた。

だけど…あたしと同じ様にあの人も智を好きやから…。

あたしは一緒に居れるだけで…恵まれ過ぎてるから…。

智の腕の中を一人占めしてるから…。

少しは我慢しないとアカンのかもしれへん…。

一緒に居るのが当たり前になって…だんだん欲張りになっていってるのかな…。


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