赤りんご
「ゴメン…何も言ってないから親が心配するだろうし…」
「そっか、分かった!駅まで送るから出ようぜ。」
「ありがと」
胸がチクリと刺された気分。
それが本当の理由じゃないって分かっているはずなのに、亮太は優しいね…。
「お邪魔しましたあ…」
誰もいない家に挨拶をして、亮太と駅へ向かった。
「もう6時半か…早いな。」
「そうだね。」
何故か亮太は明るかった。
私のドキドキも知らないうちに止まっていた。
何だったんだろう…
さっきの緊張は。
「さっきはちゃんと言えなかったけど…」
「何?」
「ご飯…作りに来てくれる?」
目を反らした亮太はきっと照れているんだろう。
カワイイ…!
「作りに行ってもいいの?」
「うん、来てほしい。」
ぶっきらぼうな亮太がすごく可愛く見えて、思わず背伸びをして頭を撫でた。
「よく言えました…!」
「アホ!からかうなよ…」