赤りんご
制服に着替えた水嶋くんがカーテンのそばに立っていた。
「上野、ありがと。」
「うん。」
水嶋くん、一応由美の名前覚えててくれてるんだ。
水嶋くんが女子の名前呼んでるとこなんて聞いたことないしなあ…
そう言っても、相変わらず由美からしたら水嶋くんはちょっと怖い。
でも、彩花には悪いけど、水嶋くんがりいのことが好きなんだって分かって嬉しい。
「じゃあ帰るね」
「ああ…」
「りいのこと頼むね!これからもずっと!」
「ずっと?」
「そう、ずっとだよ♪」
その意味を理解したのか、水嶋くんは少し照れたような顔をした。
そんな顔もするんだ…!
「頑張ってね〜♪」
逃げるように保健室を出た。
由美の勘は良いから自信がある。
水嶋くん、告白するんだろうな…。
ずっと顔がニヤけて仕方なかった。