赤りんご
「りいは?水嶋くんと進展あったの?」
「……まだ何もないんだ」
「え!?でもご飯作りに行くときは水嶋くん家誰もいないんでしょ?」
「うん…」
「夜二人きりで何もないなんて…ちょっとビックリ」
私は笑って返すことしか出来なかった。
亮太と付き合って2ヶ月経つ。
デートの時とか、歩くときは絶対に手を繋いでくれる。
それは本当に嬉しい。
今まで4回ご飯を作りに行ったけど、亮太はキスもしてくれなかった。
最後にキスをしたのは、初めての遊園地デートの夜。
夏休み前に彩花に言われたことを、最近意識するようになってしまった。
―「夏休みが勝負時だよ!」
あの時は、まだ早いよっていう気持ちしかなかった。
でも最近、もういいんじゃないかなと思える自分がいる。
それと同時に、何も求めて来ない亮太に少し不安になってしまった。
焦らなくてもいいって、頭では分かってるんだけど…
やっぱりちょっと寂しい。