赤りんご






「ここ、いいね!」



「だろ?」




「気持ちいい〜」




目を閉じて背伸びをした。



理由はないけど…落ち着く。





まるで、初めて学校の図書館に来た時のようだった。




「適当に座るか!」



キレイな砂浜の上に腰を降ろした。




「眺めもすごくいいね!」




忘れたくない…


絶対忘れない。




この景色…空。



隣で微笑む亮太の横顔。



風の匂いも…全部。



私と亮太の思い出。




今の時間、空気…


全部全部、二人占めだ。






「何でこんな場所知ってたの?」



「親が離婚する前に、一回家族全員で来たんだよな…」



「そうなんだ…」




一瞬見せた寂しそうな目。



図書館の時と同じだ…。




初めて会ったときも、絵を見つめる亮太の目は寂しそうだった。




「まだ小4だったけど不思議と俺も道覚えてて、お前に見せたいと思ったんだ。」








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