赤りんご
そんなことを言ってくれる亮太が、ますます好きになった。
家族との思い出の場所に、私を連れてきてくれるなんて…
私に見せたいなんて言ってくれて…
改めて思った。
…私、ちゃんと想われてるんだ。
私のこと、大事に想ってくれてるんだ。
「ありがとう…」
さっきとは違う…またいつものように笑う亮太の横顔に言った。
心地いい風が私の髪をなびかせた。
「何だよ急に」と照れ臭そうに亮太は砂浜に寝転んだ。
「砂ついちゃうよ…」
「お前も寝転んでみろよ」
そう言われてゴロンと寝転んだ。
その時、頭の下に違和感が…
「ん…何?」
「髪の毛に砂ついちゃうからな!」
それは亮太の腕だった。
髪の毛に砂がつかないように、腕枕をしてくれたんだ。
細身なのにしっかりした頼もしい腕。
そのギャップにもまた惚れた。
初めての経験に、嬉しかったけど少し恥ずかしくもなった。