赤りんご





そんなことを言ってくれる亮太が、ますます好きになった。




家族との思い出の場所に、私を連れてきてくれるなんて…


私に見せたいなんて言ってくれて…


改めて思った。




…私、ちゃんと想われてるんだ。



私のこと、大事に想ってくれてるんだ。





「ありがとう…」




さっきとは違う…またいつものように笑う亮太の横顔に言った。




心地いい風が私の髪をなびかせた。




「何だよ急に」と照れ臭そうに亮太は砂浜に寝転んだ。




「砂ついちゃうよ…」



「お前も寝転んでみろよ」




そう言われてゴロンと寝転んだ。




その時、頭の下に違和感が…



「ん…何?」



「髪の毛に砂ついちゃうからな!」



それは亮太の腕だった。



髪の毛に砂がつかないように、腕枕をしてくれたんだ。




細身なのにしっかりした頼もしい腕。



そのギャップにもまた惚れた。




初めての経験に、嬉しかったけど少し恥ずかしくもなった。









< 134 / 215 >

この作品をシェア

pagetop