赤りんご
でもホントはやっぱり怖くて、学校に近付くにつれて足が重くなる。
亮太は手を取って、歩幅を合わせてくれた。
「ありがとう」
「無理すんなよ」
チラッと見ると、亮太の横顔は笑っていた。
学校に着いて、静まり返った廊下を歩いた。
もう授業は始まっているみたいだ。
後ろのドアから教室に入ると、佐々木さんの後ろ姿があった。
少し胸が痛くなった。
「遅いぞーお前ら」
「すいません」
こっちを振り向いてくれたみんなは、何か言いたそうな顔をしていた。
だから『大丈夫だよ』と笑顔を見せた。
後でちゃんと話そう。
学校に行ってみんなの顔を見たら、本当に大丈夫な気がしてきた。
亮太がいてくれて、みんながいてくれて…
亮太だけじゃなく、みんなに守られてるんだって思える。
ありがとう…
本当にありがとう。