赤りんご
「それから…亮太」
いつになく真面目な表情の大崎くん…
「千明ってヤツ、ちゃんと話つけといた方がいいぞ。俺がいくら言っても、アイツ反省してるようには見えなかったから」
「そうか…分かった」
まだ…諦めてないんだ。
亮太の前では小さくなったように見えたけど…
何か…不安。
ちゃんと…話つけれたらいいけど。
また何かされるんじゃないかっていうより、また亮太があの人と話すのかと思うと寂しくなった。
もちろん私を守るためだって分かってるのに…
ダメだな、私。
それから、今回のことは先生には知られていないらしい。
私もあまり大事にはしたくなかったから良かったんだけど…
でも私と亮太がトイレを離れた後に、職員室から若い先生が出て来て、異変に気付いて声をかけてきた。
その男の先生は、私たちのクラスの副担任で、地理を教えている紺野先生。
生徒からも人気がある。
理解のある先生だから、みんなが必死で事情を話せば分かってくれたんだって。
実際に暴力もあったけど、自分たちで解決するのなら内密にしておこうと。