赤りんご
午後の授業を終え、やっと長い一日が終わった。
「じゃあな。」
ホームルームが終わってすぐ、水嶋くんは一人で帰って行った。
「りい一緒に帰ろ!電車だよね?由美も電車だから!」
「うん!」
「水嶋くんとは知り合いなの?」
「教室に来る前に一回会ったんだ。すっごい楽しい人だった!」
「え?あの水嶋くんが?」
「うん、でも何で水嶋くんみんなに冷たいの?」
「うーん…分かんない。水嶋くんって健太とは仲良いんだけど、由美たちには興味ないんだよ。壁があるって感じかな。」
「そうなんだ…」
「でもりいの前では全然笑顔だったよね〜!水嶋くんりいには心開いてるんじゃない?」
「そうなのかなあ…」
そうであったら、ちょっと嬉しいかも。
「りいのこと気に入ったんだね!あ…でも…」
由美が急に立ち止まった。
「どうしたの?」
「…彩花には気をつけて。」
「彩花?」
「うん、多分だけど水嶋くんに気があるっぽいんだよね。見た目と同じように性格もちょっとキツいからさ…。」
確かに彩花は三人の中で一番サバサバしていてギャルだ。
「まあ水嶋くんには全然相手にされてないけどね…」
水嶋くんに気があるんだ…
でも大丈夫だよね。
水嶋くんは友達だもん。