赤りんご




繁華街を抜けると駅があった。



二人とも初めて来た場所だったたから、少し迷って遠回りをしていたみたいだ。




「こっち駅の反対側だよ!」



「わ…マジで!」



来たときとは違う風景だったので、すぐに分かった。



裏道のようなところに来てしまったようだった。




その道の一角に、少し高そうなお洒落な洋食屋さんがあった。



「見て見て!カワイイお店だね!」



「ホントだ!」



赤い屋根がとってもカワイイ。



ひっそりしたこんな所にあるなんて、何かもったいないなあ。




「なあ、あれ本多じゃねえの?」



「え?嘘!えみちゃん?」



「ほら見てみ!」



ガラスに掛けられた薄いレースのカーテンの向こうをじっと見つめた。



「ホントだ!」



店の1番奥に座るえみちゃんが見えた。



誰かと楽しそうに話している。



「えみちゃんこんなお店知ってるんだあ…!」



さすがだなあと感心してしまった。



キレイでスタイルも良くて、いつも冷静で…こんなに素敵なお店を知ってるんだもん。





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