赤りんご
長い廊下を歩くと、突き当たりにひっそりとした階段への入口があった。
「ここ誰も使わないのかな?」
「だったらちょうどいいな!」
「えっ?」
亮太は私の腕をグイッと引っ張って、階段の中へ連れ込んだ。
暖かい旅館の中とはまた違う、ひんやりとした空気。
ギュウッと私を抱きしめてくれた。
「こうしたら…暖かくね?」
「うん…」
誰か来ないか心配…。
でも、こうやって触れ合うことが出来て、すっごく幸せ。
私も亮太の背中に手を回した。
暖かい……。
「なあ…」
「何?」
見つめ合う形になると、亮太の顔が近付いてきた。
「ダメだよ…誰か来たら恥ずかしい…」
もう少しでキスされるところで、私は下を向いてしまった。
「無理…我慢出来ない」
そんな私の言葉を無視して、顎を持ち上げた亮太は私の唇を奪った。
「ん……」
亮太の強引なキスに、ホントは嬉しくて…
ドキドキが止まらなかった。