赤りんご
誰もいないひんやりとした階段。
私たちは、何度も抱きしめ合って、
何度も何度もキスをした。
寒さを紛らわすために、亮太の温もりをしっかりと感じていた。
時々漏れる私の声と、
キスの合間の亮太の息遣いが、
静かな階段に響いていた。
「離したくなかった…」
別れ際、私の耳元で囁いた亮太。
亮太のせいで…顔が熱い。
あんなこと言うんだもん…。
ぼーっとしながら思い出していた。
熱が冷めないまま部屋に戻ると、すでに由美は戻っていた。
「りい遅かったね!」
「え?」
時計を見ると10時半…
私…どのくらいキスしてたんだろう。
こんなに時間が経っていたなんて思わなかった。
「わ…りいちゃん今超エロい顔してる!水嶋くんと何してたの〜?」
ニヤニヤする彩花…
それに乗っかるように、由美やえみちゃんもからかって言う。
「アハハ!ホントだ〜!りい顔真っ赤だよ!?」
「そんなことないってば!!」
言えない…
絶対言えない!!
ずーっとキスしてました…なんて口が裂けても言えない。